通常は上記で示した、140/90mmHg以下にするのが目標ですが、糖尿病・腎障害の患者さんの場合は130/80mmHg以下を目標とします。
以下に降圧剤の基本的な使い方を述べます。
| 1, | 単剤で低用量から開始する。 |
| 2, | 1日1回服用でよい長時間作用型の降圧剤を使用する。 |
| 3, | 2〜3ヶ月以内に降圧目標に達することを目指す。 |
| 4, | 到達しない場合は、他の種類の降圧剤を併用する。 |
| 5, | 利尿薬の少量投与は他の降圧剤の作用を強めるので3剤目に利尿薬を用いることを原則とする。 |
1、β1選択性か
インデラルなどの非選択型β遮断薬は、β2受容体も阻害するので、気管支喘息のヒトには注意である。
2、脂溶性か水溶性か
脂溶性のβ遮断薬(プロプラノロール、メトプロロールなど)は肝臓で代謝され、作用時間が短いが。水溶性のβ遮断薬(アテノロール)などは腎臓で排泄され、作用時間が長い。
3、ISA
ISA(内因性β刺激作用)作用をもつβ遮断薬は、過度の徐脈を防ぐので、高齢者、徐脈の患者さんに適している。あとはβ遮断薬の項参照
ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は、圧受容器反射を介した交感神経の活性化から、反射性の頻脈が起こりやすい。 エポニジピンはT型チャネルも抑制して心保護作用、腎保護作用を、シルニジピンはN型チャネルも抑制して交感神経抑制効果を示す。 アゼルニジピンは降圧に伴う心拍数の増加が見られにくい。ニフェジピン、バルニジピン、マニジピン、ベニジピンには利尿効果がある。 ベニジピン、シルニジピン、エホニジピンは腎糸球体の輸出細動脈を拡張させて、糸球体圧を低下させ、腎保護作用を示す。 これらの血圧低下作用以外の付加作用も治療に対して十分考慮に入れる。 長時間型か短時間型かについても気をつけたい。アダラートなどの短時間型Ca拮抗薬は急に血圧が下がるので、虚血性疾患の続発に注意し、最もよく使われるノルバスク などの長時間型Ca拮抗薬は24時間降圧作用が持続していない場合があることに注意する。
エビデンスの量の関係、及び心筋梗塞抑制効果の関係で、ACE阻害薬のほうがARBに比べて分があるが、空咳や血管浮腫の副作用について考えれば、ACE阻害薬よりもARBの ほうが分があるといえる。ACE阻害薬、ARB両者に見られる注意点としては、妊娠中の服用が禁忌であること、血清カリウムの上昇をきたすことがあげられる。 妊娠中の高血圧は、胎盤血流量を減少させるため、130/80mmHg未満にするのが安全であるといわれている。
ACE阻害、AT1拮抗薬(ARB)は食事をせずに服用で血中濃度が上昇する。
利尿薬ではNa排泄低下により代償的にレニン−アンジオテンシン系が 亢進するため、ACE阻害薬を併用すると過度の血圧低下が起こる。
また、これらは即効性ではなく有効かどうかは4〜8週後に 行われる。ACE阻害薬の降圧作用にはブラジキニンによるNO遊離も絡んでいる。
AUは、腎臓において輸出細動脈を収縮させ、 糸球体内圧を上昇させるとともに、メサンギウム細胞の増殖やTGFβを介して糸球体硬化を進展させる。 これを抑制するので、AT1拮抗薬には 腎保護作用あり。
心筋は高血圧で肥大する以外に、AUが直接心筋を肥大させる。心臓の心筋細胞以外の部分である間質を
増殖させ、繊維化や動脈内腔の狭小化を引き起こす。
<糖尿病を合併する場合>
糖尿病を合併する場合は、高血圧のみの場合に比べて心血管系の病気のリスクが2〜3倍に増加するため、上記で述べたように130/80mmHg以下を目標とします。
第一選択薬は臓器(心・腎)保護作用やインスリン抵抗性改善作用をもつACE阻害剤(アンジオテンシン転換酵素阻害薬)、ARB(アンジオテンシンAT1拮抗薬) であり、糖尿病性腎症を持っている場合は特に、これらの薬剤が有する糸球体輸出細動脈拡張作用が生きる。ただし、糖尿病性神経症がある場合は、起立性低血圧に注意する。
<高脂血症を合併する場合>
高脂血症を合併する場合は、脂質代謝改善作用(血清コレステロール減少、HDL増加作用)を有するα遮断薬が適する。
<前立腺肥大を合併する場合>
前立腺のα受容体も遮断して、排尿困難症状を改善するα遮断薬が適する。
<脳血管障害を合併する場合>
血圧が上昇すると脳血流量が上昇するが、血圧が低下すると反対に血流量が減少して虚血(酸素不足)によるめまい、ふらつき感を生じる。
脳血管に障害があると、血流量の自動調節能が狂い、わずかな血圧低下でも血流量が減少して虚血を招く。よって、脳血管障害がある場合は、 安易に降圧剤を使用しない。血流改善薬とCa拮抗薬の併用がベター?。
<狭心症を合併する場合>
安静時(冠攣縮)狭心症には、長時間型のCa拮抗薬を第一選択として用い、労作性狭心症にはISA(-)のβ遮断薬(が適する。
<心不全を合併する場合>
利尿をはかり前負荷を軽減することが最も重要なので、利尿薬が第一選択。ACE阻害薬、ARBも使用する(心保護)。重症心不全を合併する場合は、アルドステロン拮抗薬が適する。
